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個人での動画編集が当たり前になり、誰もが動画編集ソフトを利用するようになりました。有料・無料を問わず数多くの動画編集ソフトがあるなかで、どのソフトがよいのかわからなくなってしまう人もいるでしょう。そこで今回はMPEG動画編集から進化を遂げた動画編集ソフト「TMPGEnc Authoring Works 6」について、ご紹介していきます。
TMPGEnc Authoring Works 6は、DVDのオーサリングソフトとして2008年に登場した、DVDオーサリングソフトの後継バージョン(初期はバージョン4)です。株式会社ペガシスが販売しています。後にBD(ブルーレイ)やGPUアクセラレレーションに対応し、簡易的ではあるものの動画編集機能を備えた統合動画編集エンコードツールとして販売されています。
動画編集ソフトとして開発されたものではないため、他の編集ソフトとは少し気質が違います。しかしその使いやすさとリーズナブルな価格設定によって、多くのファンを獲得しています。
TMPGEnc Authoring Works 6では、さまざまな動画ファイルやデータをBDMV、DVD-Video、AVCHDにオーサリングして出力可能です。スライドショー動画を追加したり、用意されたテンプレートで簡単にDVDメニューを追加したりも可能です。※オーサリングとは、さまざまなデータファイルを視聴できる記録メディアに変換することをいいます。
通常の動画編集ソフトであれば、編集速度を高速化させるためにプロキシファイルを作成する必要性があります。TMPGEnc Authoring Works 6では、カット編集や動画の結合部分のみデータの圧縮を行います。それ以外のデータを無劣化で処理することが可能です。
他の編集ソフトでも無劣化編集は可能ですが、PCスペックに依存します。「短時間で正確な動画編集」を行う際には非常に使える機能で、オーサリングする前の動画を編集するには便利です。
ほとんどの動画編集ソフトは「GOP」単位で、動画のカット編集をすることが基本です。TMPGEnc Authoring Works 6では「1フレーム」単位での編集が可能なため、必要最低限の削除や切り抜きなどが可能となります。この機能は高度なプロ向け動画編集ソフトにしか搭載されておらず、低価格の動画編集ソフトでは利用はできません。
TMPGEnc Authoring Works 6の動画編集機能は限られており、シンプルなUIで構成されています。マニュアルを見なくても直感的に操作が可能です。また、シークバー上にマウスを移動すると「サムネイルプレビュー」を使えるため、動画編集箇所を一眼で把握できるでしょう。
TMPGEnc Authoring Works 6には、豊富なメニュー用テンプレートが用意されております。任意のテンプレートを使用することで、あっという間にDVDメニューを作成可能です。お気に入りのデータをおしゃれなメニュー画面で使いたいという人にはとてもおすすめの機能です。
今回のバージョンから新設計されたエンジンによって、動画編集効率が飛躍的に向上しています。動画編集=「ハイスペックマシン」という概念を打ち壊し、低スペックマシンでもほとんどの作業を問題なくこなせるでしょう(推奨スペック以上)。
MPEG-1、MPEG-2、H.264/AVC (.mp4, .m4v, .m4a, .mov, .264)、H.265/HEVC、AVCHD、Microsoft TV、Everio 、FLV (H.264)、MOV、MKV、XAVC S、PGMX、MXF、AVI、DVD/BD全般など
AVCHD (Memory Card、DVD、Progressive)、Blu-ray (BDMV)、DVD (DVD-Video)
ここではTMPGEnc Authoring Works 6の簡単な使い方についてご紹介していきます。※あらかじめソフトを購入し、インストールを完了しておいてください。
1. TMPGEnc Authoring Works 6を立ち上げて、「新規プロジェクトを開始-タイムラインモード」をクリックしてください。
2. 画面右にある「追加するクリップの情報から設定する」をクリックしてください。
3. ファイルから追加する」をクリックして、編集したい動画ファイルを選択します(あらかじめ動画ファイルを準備しておく)。
4. 動画ファイルが編集画面に挿入されれば準備は完了です。
1. タイムライン上に動画クリップをおいた状態で、クリップの右端をクリックしながら、右へスライドしてみましょう。
2. 動画が短くなれば、長さの変更が完了です(非破壊編集のため、逆の操作を行うと修復可能です)。
※長さを編集する時にクリップが見づらい場合は、タイムライン左上にある「+」マークをクリックして動画を拡大してください。反対に「-」マークをクリックすることでクリップが縮小します。
1. さらに細かく動画クリップを編集する場合は、動画クリップ上でダブルクリックを行うと、下記のよう画面に切り替わります。シークバー上の開始位置を選択し、画面下の「開始フレームに設定」をクリックします。
2. そうすると下記のような表示が出るので、「はい」をクリックして進みます。※この操作がタイムラインのクリップに直接反映されるという意味です。
3. 終了位置にカーソルを合わせ、「終了フレームに設定」をクリックします。
4. 開始、終了位置が完了したら、画面下の「OK」をクリックして詳細な編集を終了します。
1. 画面上にある「編集」の隣の「出力設定」をクリックして、出力フォーマット画面を出します。
2. 任意の出力を選んでして、「選択」をクリックします。(画像ではMP4にしています)
3. 細かい設定画面が表示されるので、設定して画面上の「エンコード」をクリックします。※難しい場合はデフォルトでかまいませんが、不安のある人は前画面で「〇〇向けファイル出力」を選んでおきましょう。
4. 出力先を設定して、画面下の「出力開始」をクリックします。
5. 出力完了したら「OK」をクリックして終了します。完成した動画ファイルが再生できるかチェックしておきましょう。
TMPGEnc Authoring Works 6に搭載されている動画編集機能は、あくまで「簡易的」です。本格的な動画編集を考えている場合には向いていません。しかし1万円弱という低価格で1フレーム単位の正確なカット編集などが、できるソフトは少ないものです。他のソフトと併用して使う場合にはおすすめです。またDVDやブルーレイなどの視聴用ディスクを作成する目的であれば、本来の機能であるオーサリングを生かせます。このソフトを使いこなせるでしょう。
TMPGEnc Authoring Works 6はオーサリングソフトとして優れています。しかしあくまで自作DVDやブルーレイなどに利用するソフトで、市販DVDのコピーガード解除などの機能は付属していません。また動画編集機能に関しても簡易的であるため、「このソフトでしかできないこと」がない場合は購入する必要がないでしょう。ただしUIはシンプルで使いやすいため、何を使ってよいか分からない初心者にはおすすめです。
今回の記事ではTMPGEnc Authoring Works 6について、詳しく解説いたしました。TMPGEnc シリーズは1998年から作られている映像編集ソフトですが、過去には「グランツーリスモ3」や「鬼武者」の作成ツールな度に利用されたこともあります。長年の実績と確かな技術力があるのです。
TMPGEnc Authoring Works 6は簡易的な動画編集ではあるものの、同社の専用ソフトを併用することで、高度な編集も可能です。今後も安定して使えるソフトと言えるでしょう。一般的認知度は低いものの根強いファンも多く、これからも発展の楽しみなソフトのひとつです。