動画や音楽などのオーディオファイルを使ったことがあれば、一度は聞いたことがあるファイル形式がMP3とMP4です。MP3とMP4、名前はよく似てます。でも、MP3とMP4それぞれ大きな違いがあるんです。
MP3は音声データのファイル形式です。ファイルの拡張子は「MP3」であるファイルフォーマットですが、非可逆圧縮形式で圧縮された音声圧縮データでもあります。
非可逆圧縮形式は、展開・解凍しても完全にもとのデータには戻りませんが、圧縮で大幅にデータ容量を削減することができる形式です。
圧縮と言っても、人の耳では感知しにくい部分を取り除いてデータサイズを小さくしているので、音声の品質が大きく劣化しているわけではありません。
MP3は音声データのみなので、再生しても動画や画像は一切映らずに音や声が流れるだけです。人がしゃべっている声を録音したもの、あるいは音楽や歌のデータ保存などに使われることが多いです。
MP4は、動画データのファイル形式です。拡張子は「MP4」となり、MP3と同じく非可逆圧縮形式になります。
動画データですが、音声データも入っているので再生すると映像と音声が流れます。
撮影した映像や、映画やMVなどの映像作品に使われます。
現在の標準ビデオ形式とされる場合が多く、映像を含むファイルでは一般的にMP4の形式がとられます。MP4が開発されるまでは容量が大きすぎてストリーミング配信が難しかった映像も、圧縮形式のMP4の登場でインターネットで簡単に閲覧できるようになりました。
MP4は音声と映像のデータの両方が入ったファイル形式ですが、映像データなしで音声のみのファイルにすることも可能です。逆に、映像のみで音声なしの無音の動画ファイルも可能です。
MP3は音声データだけのファイルデータで、MP4は音声のほかに動画のデータも入っているファイルです。これだけ聞くと、MP4がMP3の上位互換であるように思えますが、実際はMP3とMP4は全くの別物であり、上位互換ではありません。
MP3は音声のみのデータのファイル形式で、MP4は音声データと映像データの両方が入っていますが、音声と動画それぞれが入っているファイル形式なんです。
MP4は、「デジタルマルチメディアコンテナフォーマット」と呼ばれるファイル形式で、コンテナつまり箱の中に映像と音声のデータがそれぞれ入っていると考えればわかりやすいでしょう。
映像のために音声データの品質を犠牲にしているわけではなく、音声データのファイル形式もそれぞれ異なります。MP4の音声データはMP3ではなく「m4a」という全く違った形式のデータなんです。
MP3とMP4には、どちらも音声データが含まれています。2つを比較した場合、どちらのほうが音質がいいのか気になるかもしれません。
しかし、結論を言ってしまうとMP3とMP4のどちらが音質が良いかは単純に結論付けることができません。さきほど解説したように、MP3は音声データを圧縮したファイル形式で拡張子がMP3になるフォーマットです。
それに対して、MP4はコンテナファイルで音声データと映像データを入れる箱のようなものです。音声のデータそのものとデータを入れるコンテナファイルとを比較しようにも、単純に比べられるものではないことは容易にわかるでしょう。
ただ厳密に言えば、高いビットレートではMP3のほうが音質が良く、低いビットレートではMP4の音声データのm4aが音質が良く聞こえるとされています。
では、MP3とMP4はそれぞれどのような用途に使えばよいのでしょうか?
MP3は音声に特化したファイル形式ですので、音声のみのデータファイルにおすすめです。人がしゃべる声や自然の音など、映像なしで音だけで成立するデータファイルに使いましょう。歌や曲を聴くための音楽データにもMP3を使います。
一方、MP4は音声データだけでなく映像データも入るファイル形式なので、音声だけでなく映像も必要なデータに使いましょう。動画撮影した映像など、音声だけでは成立しないデータファイルにはMP4で映像データも一緒に入れられます。
MP4で映像データなしの音声のみのデータファイルにすることもできますが、音声のみのデータは音声に特化したMP3を使ってください。
ここまでMP3とMP4について特徴や違いを解説しました。MP3は音声データファイル、MP4は音声データと映像データの両方が入ったコンテナファイルになります。
実は、MP3とMP4は相互に変換することが可能です。
MP4をMP3に変換する際は、MP4から音声データを抽出してMP3のファイル形式に変換すればいいので仕組みはイメージしやすいでしょう。
逆に、音声データのMP3を映像データを含むMP4に変換するのってイメージが湧かないかもしれません。
MP3をMP4に変換する仕組みは、音声データのMP3をMP4の音声データである「m4a」に変換します。このm4aファイルをMP4のコンテナファイルに入れることで、MP4に変換することができるんです。
もちろん、そのまま変換しただけでは映像データが全くない音声のみのMP4ファイルになります。しかし、変換するときに画像データを1枚入れるだけで、再生したときに画像が映って音声が流れるMP4ファイルになります。
注意点として、MP3とMP4を変換する際には必ず専用のツールを使うようにしましょう。単純に、拡張子の「MP3」と「MP4」を変更すればいいのではないかと思うかもしれませんが、この方法はおすすめしません。
拡張子を変更するだけでは、もとのMP3とMP4の中身のままなので、適切なデータ容量になっていません。たとえば、とても大きな映像データの入ったMP4の拡張子をMP3に変更しても、映像データは残ったままです。
音声だけのMP3ファイルなのに、容量の大きなMP4ファイルのままのデータサイズになってしまいます。
データサイズの問題のほかに、ファイルの拡張子をむやみに変更すると使えなくなってしまうリスクもあります。MP3とMP4のファイル形式を変えたい場合は、拡張子を変更するのではなく専用の変換ソフトやツールを使うようにしてください。
MP3とMP4を変換するときは、拡張子を変更するのではなく専用の変換ソフトを使ってファイル形式を変えます。では、MP3とMP4のファイル形式を変換できるソフトでおすすめのものを紹介します。
数ある変換ソフトの中で、メインでおすすめするのは「DVDFab 動画変換 Pro」です。
DVDFab 動画変換 Proは、MP3とMP4の相互変換が簡単にできるソフトです。
使い勝手がとてもよく、変換速度も早いので、手間や時間をかけずに素早く変換を完了させることが可能です。
快適にファイル変換を終わらせられるソフトとして、特におすすめできます。ファイル形式を変換するだけでなく、たとえばMP4に変換してそのまま動画編集までできてしまう機能性の高さも評判が良いです。
動画形式はもちろんさまざまなオーディオ形式にも対応していて、MP3とMP4だけでなくいろいろな形式に変換できます。4Kや8Kの高画質動画にも対応しているので、変換から動画編集まで自由自在に使いこなすことができるのが嬉しいです。
有料ソフトではありますが、全機能体験版や無料版などがあるので、気軽に使って試すことができます。セキュリティ面での安全性も高いので、安心して使い続けられます。
VideoProc Converterは使いやすさと操作性に優れているので、パソコンの初心者でも簡単に扱えるソフトになっています。動作も軽いので、ストレスなく作業をすることができます。
無料版もありますが、無料体験版は5分までしか出力できないので、5分以上のデータを変換したい場合は有料版へのアップグレードが必須です。
また、動画編集の機能性の高さが上級者にとって物足りない内容になっています。
HandBrakeは、無料で使うことができる変換ソフトです。知名度が高いため、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。ただ、設定が複雑で難しく、初心者には使いにくいかもしれません。
無料ソフトのためか、対応している出力プロファイルの種類が4種類しかないです。MP4には対応していますが、将来的にいろいろなファイル形式を使うことになったときは注意です。
AviUtlは、動画編集ソフトとしても有名な無料の変換ソフトです。動作がとても軽く、有志のものも含めてプラグインがたくさん用意されているので、機能の拡張性が高いです。
MP4変換の作業もプラグインを使うことでできるようになりますが、ソフトの導入やプラグインの設定などが難しめで手間や時間がかかるために、ほかのソフトと比較してかなり面倒です。
動画編集でも、自由度が高すぎるので初心者にとっては負担が大きくなることがあります。また、対応のOSがWindowsのみなので、Macユーザーは注意が必要です。
Freemake Video Converterは、サポートしているフォーマットの種類が多く汎用性が高い変換ソフトです。ファイル変換はもちろん、動画編集や写真のスライドショー作成やDVDへの書き込みなどいろいろなことができるオールインワンのソフトとも言えます。
無料版もありますが、無料版では出力したものにロゴが入ってしまうので、有料版を使うほうがいいでしょう。操作性が良くて初心者でも感覚的に扱えますが、これまでに動作の不具合があって安全性にも不安を持つユーザーも少なくありません。
無料版だと出力したデータにロゴが入ったり、有料への誘導がかなり出てきたりと、無料と言っておきながら実質は有料版を使わざるを得ないものである点が評判がよくないようです。
ファイル変換ソフトには、無料のフリーソフトから有料の製品まで数多くあります。1回変換するだけなら無料のフリーソフトでも十分ですが、将来的にファイル変換を何度もするようであれば有料のソフトを1つ持っておくといざというとき安心です。有料ソフトであれば機能性も高く、またセキュリティの安全性でも安心です。
また、自分自身のPCスキルでも簡単に操作でき、変換したいファイル形式がきちんと対応しているソフトを選びましょう。有料のソフトでも無料版で試すことができるものがあるので、フリーソフトと比較しながらためしに使ってみて、自分に合ったものを見つけてから有料版にアップグレードするのもいいですね。